お嬢様の秘密
舞台にあがった後、葵がそっと耳打ちしてきた。


“俺の動きに合わせろ”


OK…。


会場はから葵に対する応援的な目線はあるが、私に対しては批判的な目線しかない。


私が釣り合っていないなんて分かってるよ!!


でも、葵の横に居たい。


何でこんなこと思うんだろう?


ーパチン


葵が合図し、曲が流れた。


この曲は数年前、あるフィギュアスケート選手が使った曲。


仮面舞踏会。


私は葵にあわせて回ってみたり、ステップを踏んだりしてみる。


.....次第になれてきた。


事前にされた話によると約3分踊るらしい。


それまで足はもつかな....。


少し冷や汗が出てきた。


会場の視線は怒りからだんだん驚きと賞賛のような目になってきた。


.....一部を除いては。


最前列のシルバー様も満足そう。


「ユリ、もう少しで最後な。」


何で踊っている間になんでそんなに話せるんだ?


そう考えていた時。




あっ。


顔には出さず心の中で慌てた。


右足が...。


葵は私の異変に気づいた。


「大丈夫か?」


「うん、なんとかね。」


周りからは見られない角度の時、話しかけてくれた。


「ユリ、後30秒。いけるか?」


「うん。」


そう答えたその時。
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