お嬢様の秘密
ービュッ


会場からそんな風の音が聞こえた。


「痛.....」


私は少し、声を漏らして後ろに反りかえってしまった。



ーバーン


はぁ。


いいタイミングで曲が終わったよ。


…のはいいんだけどなんか最後のフィニッシュ姿勢なんとかなってるのかな。


怪我していない左足でなんとか踏みとどまり、右足は滑ってる。


それに乗じて体は右側に落ちていってるし葵に支えてもらっているのは腰だけ。


辛うじて腕を首に回してはいるけど……。


態勢を崩したことに気づいてくれた葵が私の後ろの肩辺りを支えてくれたら見た目はなんとかごまかせた?


葵は私をゆっくりと抱き起こし元の姿勢に戻してくれた。





葵の横でドレスを少しつまみ葵と礼をした。


ーオ-----------!!!!!!!


ーパチパチ…!!!!





皆がスタンディングオベーション!


でも、次第に皆の拍手が大きくなってきてタイミングが揃ってきた。


もしかしてアンコール??


葵の方をチラッと見ると葵は困ったような顔をしていた。


やりたくないんだろう。


「ユリは右足が良くないからやれるわけねぇよな。」


「そうだね.....。」


私は桜井にやらないという意思を込めて見つめた。


伝わるかな...?
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