お嬢様の秘密
「私は真理亜様の第1執事であるとともに学園の医師も務めております。以後お見知り置きを。」


さっと礼をした。


「あの………真理亜様の元を離れても大丈夫なのですか?今聞いた限りでは体調がよろしくないとのことですが………。」


「真理亜様は大丈夫ですよ。私がここに来る前に寮へお戻りになりましたし。このホールからは比較的近い場所に寮がありますしね。」


そんなところにいたの………。


このホールは校舎から離れていると思うけど。


まだ、私たちの寮からの方が近いと思う。


「とりあえずある程度の処置はいたしました。お薬も後で処方して届くように手配いたしますので。

どうか今日は十分な休養をお取りくださいませ。」


「分かりましたわ。治療していただいてありがとうございます。理央に調合室へ行ってもらいます。よろしいですか。」


「はい。かしこまりました。」


椅子に座ったまま私は頭を下げた。


「ではみなさん。部屋に戻りなさい。」


シルバー様の合図で各々が戻っていった。


私は理央に薬をもらいに行くように連絡した。


「行くか。」


そう一言つぶやいて葵は私を抱き上げた。


反論する気力もなかったので、私は葵にされるがまま寮へ戻った。





< 124 / 312 >

この作品をシェア

pagetop