お嬢様の秘密
「ちょっと耳貸して。」


「何?」


『あのね。もう私、真理亜様に仕えるの嫌になったの。

いくら家を盛り立てるためだと言われてても、妹が真理亜様にと思ってやったこともすべて否定される。

私も普通に友達と笑い交えて暮らしたい。

あなたを見てそう思った。最初はあなたのこと憎らしいと思ってたのに。』


「えっ?あの.....……」


美穂は私を見て申し訳なさそうに笑った。


『確かにあなたを助けるわ。だけどあなたの部屋には送ってあげられない。この学園のどこかに助けるとしか言えない。

それだけは許して。




妹の罪と私の罪を背負ってせめてもの私なりの謝り方よ。』


「美穂...。」


私を殺そうとしたのは許せない。


だけどその人にも必ず良心があるってことを信じてた。


きっと美穂の心にも届いているはず。


たとえこれが真理亜と美穂の罠だったとしても。


「美穂。私を助けたら学園長のところに行って。」


「なんで?」


「自首して。」


「えっ....。それだけは許して。家のために....。」


「家のためだったらなおさらじゃない!私は口外するつもりはないけどいつかはバレると思う....。

その時こそ取り返しがつかなくなると思うよ。


今自首してくれたら私は少しならあなたを許せるかもしれない.....。」


「ユリ...。」


美穂の目にはうっすらと涙がたまっていた。


そして私に抱きついてきた。


「ありがとう....。」


美穂は少しでも私を信じてくれたかな....?


真理亜様。


あなたの目的は何....?

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