お嬢様の秘密
「奥様。」


竜也がこっそり耳打ちしてきた。


「分かった。いいわよ、私に言わなくて。」


妹の到着くらい分かるわよ。


沙那は分かりやすいんだから。


「莉依紗様!お呼びいただきありがとうございます。」


来たか……。


「沙那さん?」


「あら、夏菜ちゃんじゃない。お久しぶりね。」


「はい。前にお会いしたのは夏休みに一瞬くらい私がお見かけしたくらいですからね。」


沙那は私とよく似た顔で笑った。


「沙那…さん。ちょっと着いてきて。」


「じゃあ、夏菜ちゃん、またね。」


「はい。」


夏菜と葵は私が用意した部屋に移動してもらった。


梶原と吉崎に屋敷の概要図を渡しておいたから大丈夫よね。





私は沙那をある部屋に通した。
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