お嬢様の秘密
「ねえ。今頃だけど私たちってどうしてこの学園にきたの?私も一応それなりの令嬢として育てられてきたけど………。

もしかして玲央がユリの執事をしてるから?」


「さあな。俺も聞きたいくらいだ。何しろ執事とはいえ主人の秘密ごとなんて聞くものじゃないし。」


………なんとなく話を変えてみたくなった。


「玲央?」


「なんだ、今度は。」


「玲央ってさ最近様子がおかしくない?ユリは気づいていないみたいだけど。」


私がそう言ったとたん誰にでもわかるくらいに肩がビクッと動いた。


「玲央、どうしたの....?」


「なんでもねぇよ。」


元に戻ったが明らかに様子がおかしい。


「玲央?」


「なんでもねぇ!!」


切れられた。


何か心の中がキリッと痛むよう。


「玲央....。私たちは幼なじみだから秘密ごとなんて隠していてもバレるのよ?....それでも教えてくれないの?


そんなに....信用できない?」


「ちがっ....そうじゃなくて...。「もういいよ。」


玲央はユリが聞かないと口を割ってくれない。


いつもそう。







「もういいよ....。」


玲央の前では泣きたくない。


これはわたしのプライド。



くるっと踵を返し、私は走り去った。




-夏菜side end-
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