お嬢様の秘密
「安藤先生?私の部屋で一服いかが?」


他の先生に聞こえないように誘ってみた。


わたしの恩師の娘だから大事にしないとね。


「ではお言葉に甘えて....。」


さすがに私には謙遜しないだろう...。






安藤先生.....遥を私の部屋、学園長室に連れてきた。


人前では安藤先生と呼んでいるけど、プライベートでは遥だ。


国松を学園長室の中にある執事用の部屋に追いやり、私は久しぶりに自分でコーヒーをいれた。


「遥?何か疲れたように見えるけど....。」


「えぇ...。真理亜さんがね...。クラスの女子を引き連れてという感じで...。男子は見惚れているのか...。」


「ユリたちは?」


「制度を使っていて滅多に来ません。」


あの子達が頭が良くて良かったわ。


沙那の指導の賜物ね。


「でもいらっしゃらない方がいいかもしれません。葵さんがいたら授業になりませんし、ユリさんには嫉妬の目が向きますから....。」


「真理亜は普通に教室で授業を受けているの?」


「えぇ。持ち前の優等生ぶりを発揮っていう感じで。」


「あなたのクラスは疲れるわね....。」


「学園長様だけになら本音を言えますが、まったくそのとおりです。」


二人で苦笑しながらコーヒーをすすった。


に...苦い....。


自分で煎れるのはやめとけば良かった....。


遥をちらりと見やると満足気な表情ですすっていた。







ユリはあなたにしかお願いできないのよ.....。


よろしくね....。





-莉依紗side end-
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