お嬢様の秘密
「それがどうした。」


「なんとなく。」


車内は沈黙状態になってしまった。








「早く帰って来いよ。イギリスから。」


会社のオフィスにつく10分くらい前に急に口を開いた。


「は?」


「俺は嫌な予感がする。それが理由だ。」


兄貴は目を細めて遠くを見た。








-------


兄貴に地下5階の駐車場に止めてもらい、社長室に向かった。


旦那様とはほとんど面識がないため兄貴が付き添いをすることとなっている。


--コンコン


「入れ。」


有無を言わさない威厳のある声に少し背筋が伸びた。


「お久しぶりでございます、玲央にございます。」


「顔を上げよ。」


将軍が家臣に命令するような言い方。


そういえば旦那様は戦国時代がお好きだったような....。


「大きくなったな。会うのは13年ぶりか?」


そんなこと言われても13年前といえば俺は3歳。


記憶なんて残っていない.....。
< 294 / 312 >

この作品をシェア

pagetop