お嬢様の秘密
ーガラッ....


今度こそ先生入ってきたよね。


一瞬でクラスがシーンとなったし。


そう思ってドアの方を見ると.....。


みんなが花道のように道をあけ、出口は私のところへ。





「ごきげんよう。ユリさん、夏菜さん。」


「真理亜....さん。」


「あなたに‘さん’付けされるいわれはないわ。皆さん、私も今年は教室で勉強致しますので。」


車椅子から立ち上がり礼をした。


「お願いいたしますわ。」


あまりの優雅さに声が出ない。


さすがは権力者。


教室にはかなりの令嬢や子息がいたけど、それすら眼中にない。


従わさせる雰囲気を持っている。


皆も真理亜に合わせるように深めに一礼した。


「そうそう。ユリさん、あなたには言いたいことがあるの。」


「何ですか....?」


クラスにいる人からは冷たい視線が突き刺さる。


「あなたまだ何も知らない顔でいるの?」


「何のことでしょう?」


知らないの?って言われても何の話か見えてこない。


「あなたって、不運な人よね。....母親に捨てられたくせに。」


教室がざわめき出す。


嫌な予感が頭を占める。


「何のこと?私には心当たりがないんだけど。」


ついうっかりタメ口を使ってしまった。


「庶民が私にそんな口聞くの?....まあいいわ。許してあげる。」


私と一気に距離を詰めた。


そして声を張り上げた。






「皆さん、よく聞きなさい。貧乏ぶってる庶民、秋本ユリは学園長の実の娘よ。」


「え....?」


何の話?


「真理亜様、何を………」


慌てて否定したけど、教室のざわめきに私の声は消されていく。


「嘘でしょ..?」


「あの学園長の娘?」


「だけど、真理亜様の言うことは合ってるから....。」




違うって....。


誰か、嘘って言ってよ......!!!!






続編に続く。

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