お嬢様の秘密

校長室に行ったその翌日。


つまり金曜日。


「短い間でしたがありがとうございました。」


私を代表してみんなにあいさつした。


昨日職員室を出た時に一部の女子に情報が広がっていたので、驚かれることはなかった。


昇降口のところに貼ってある新聞部の号外が玲央が転校することでいっぱいだったもんね。


おかげで昨日一日で学校中に広まっちゃったよ。


「じゃあ帰ろうぜ。」


「「は？？」」


「聞いてなかったか？ユリのお母さんがあいさつをすませたら帰ってこいって言ってたぞ。」


「でも、今日お別れ会....。」


「それもパスだ。では皆さん、先生、また会えるといいですね。」


「ちょっと玲央！まだ帰る用意.....」


「あぁ。それならもう桜井が持ってった。」


玲央はそそくさと出ていってしまった。


私たちも慌てて着いていく。


「あぁ。玲央様がいなくなっちゃうのか.....。」


「それにしてもあの子たち玲央様と同じところに行くんでしょ？」


「うらやましいよね。」


玲央が出ていった教室に女の子たちの会話が飛び交っていた。


少しだけ僻みが混じっていた。





校門に着いた時、すでにリムジンが到着していたので私たちは乗り込んだ。


「玲央！ちょっと強引だよ！」


「だってあいつらうるせーし。」


「だけどさ....。」


「それより今日ユリの部屋に制服届くんだって！すっごい楽しみ！」


「そうなんだ。全然聞いてなかったなそんな話。」


「裃の制服は世界的デザイナーのサラ・ミューナが作ったんでしょ？」


サラ・ミューアって誰？


そういうの全然興味ないや。