お嬢様の秘密
準備が出来たときは私は少しへとへとになっていた。


『お嬢様!スタイル抜群です!』とか『何着ても似合います!』と歯に浮くようなお世辞をいっぱい並べられて....。


結局私の衣装を決めたのは桜井だけど....。


「ユリ。誰と行くの?」


どこからともなく現れたお母さんが声をかけてきた。


「えっと....。」


「もしかして彼氏?」


「そんなのじゃないからね!」


「なーんだ。」


彼氏なんて私に関係のない話だ。


と、その時。


「お嬢様。参りましょう。」


え?


もう時間なんだ。


「じゃあ行ってくるね。」


「気をつけて。」


エントランスまでお見送りしてくれた。




リムジンで少し移動し....。


「あっいたいた。桜井ありがとう。」


「では、お気をつけて。」


軽く会釈し家に帰っていった。


「葵!待った?」


高澤くんは私の方を見ると顔を赤くした。


どうしたんだろう....?


「高澤くん?」


「ユリ。行こうか。」


そばに車を待たせてるんだろうと思ったけど、そうでもなかった。


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