お嬢様の秘密
みんなの痛い視線から早く逃げ出したくて足早に学園長室に向かった。


各クラス委員の中で唯一私たちだけ学園長室に呼ばれていたらしい。


「失礼します。」


「あら?1年A組はあなたたちね。思ったとおりだわ。」


どう言う意味?


「思ったとおりというのは?」


私が思ったことを葵が聞いてくれた。


「昔から学園祭の委員会だけはみんなめんどくさがってやらないのよ。あなたたちもそうでしょ?」


「でも、そんなにめんどくさいんですか?」


「仕事は頭を使うだけだからそんなことないんだけど、経営なんて人任せ!みたいな人間はめんどくさがる。」


「でも、将来会社を運営する人だったらやった方が良いのでは?」


「そうなのよね。だけどあなたたちなら任せられると思って、遥のクラスのくじに細工したの。」


「「え??」」


じゃあくじ運がなかったってわけではないんだ....。


なんか安堵しちゃった。


それより私って将来会社を運営したりするのかな....?


家的に縁のない話だ。


「あなたたちだから、内緒で準備全部やってあげる!」


「え!?いいんですか?」


「誰にも言わないって約束するなら。見つかると面倒なことになるから。」


やった!


「でも、クラスの決めごとは自分たちでやってね。」


それぐらいはやらなきゃ!


「わかりました。」


「奥様、そろそろ外出のお時間でございます。」


「国松。ありがとう。じゃあやっておくわね。」


「「お願いします。」」


やっぱ優しい!
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