保身に走れ!
ぐずいおだんごヘアは前髪をあみこみにしてサイドに繋げるという小技がオシャレだし、
光沢ある生地がお気に入りのルーズに広がったワンピースと、編み方が特徴的なニットカーディガンの相性は抜群だし、
茶色のぺたんこでフリンジが揺れるブーツもコーディネートに合っている。
ナチュラルテイスト、可愛くなった効果で、あの亜莉紗の癖に彼氏だってできたらしい。
そんな彼女は数年間で可愛くなった手応えがあるようで、
男女兼用っぽいシャツに型遅れのデニムを合わせるような元・親友の穂ノ香に再会しようが、
あまり興味がないようだった。
「彼氏がバイト代でおごってくれたんだ」
女子高生になった亜莉紗の口調は軽やかで、チョイスする話題も華やかで、
外見の変化が内面の改造へと影響し、更には彼女に連なる仲間が穂ノ香ではなく、
新たな人材が陣取っていた。
「イケメンの先輩見つけたんだ。紹介したげよか?」という亜莉紗の周りには、
「うっそ! 普通にお願い」と、楽しそうに笑う女の子たちがいる。
それは三年生の時に、よく男子と一緒に船場をイジりケラケラ性悪に爆笑する女子たちだったため、
いいや、亜莉紗や穂ノ香をからかう女子だったため、昔の記憶には馴染まない風景でかなり仰天だった。