保身に走れ!

穂ノ香のような正論好きは自分を護るばかりで、打開策を発表しないならば、

ただの気弱なつまらぬキャラクターなだけなのに、

周りの精神年齢が低くて自分が大人だと勘違いしがちな点に気づく者は少なかったりする。


例えるなら、カラオケのタンバリンが妥当だろう。

場を盛り上げる活発な音色がよく似合う、

つけまつ毛を重ねた不自然に垂れた目尻とエクステの束がおかしい髪型をしたファッショナブルな女の子たちが、彼女のクラスには居た。


「もーあんたらやめなよー船場さんかーわいそーぉー」

伴奏を無視して派手な女子がチャラい二人に突っ掛かるなら、

「なんで! 事実じゃん」と、彼らはゆるい返事をし、

もはや今が合唱コンクールへの貴重な練習時間ということが三組のメンバーからは忘れ去られていた。


「船場さん可哀相でしょー」と口にする目立つ女子たちに、

穂ノ香が好きな人の噂をやっと止めてくれる救世主だと安心したのは、新しいクラスになって二日までで、

三日目には彼女らの非道さが憂鬱で、肩を落とす毎日となる。



目線を下げた先に広がるのは、音楽室らしい重々しい色に塗られた絨毯だった。

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