保身に走れ!
四人班の男女が机を向かい合わせて作られた大きなテーブルには、
銀色のトレーの上に万能なソフト麺やチーズが舌に残ってまずいと評判のフルーツサラダが乗せられている。
お昼の放送は広報部員が選んだヒットチャートがささやかな音量で流されている。
「つかさ、船場って嶋の三倍太くね?」
「オカマちゃんガリガリ〜」
「船場にウエストは存在しないだろ」
「分かる、樹齢何千年」
いいや、穂ノ香は三組が苦手なのだ。
誰も悪意に満ちたからかいを止めようとはしないし、ちゃっかり聞き耳を立てているし、
先生だって見て見ぬふりを続けている毎日なのだ。
一人だけ下を向く女子生徒を視線で追い込むのが上手なメンバーが集う。
辛そうな表情の船場を庇うようにして、「やーめなよ、かぁーわいそーぉー」と、
口先だけは同情心ある動きをするが、女子も女子で面白そうに笑っているし、男子も男子で笑っている。
ある意味、そこは笑いが絶えない明るい教室だった
なんでこんなつまんないの
やだなぁ、
わくわく片思いをしたいのだけれど、今のクラスだと難しい話だった。
そして、穂ノ香はとうとう自分を嫌いにならなくてはならない場面となる――――