保身に走れ!

少年は乱れない、いつだって表情を崩さない。

クラスメート大半の皆が望む青春は、背伸びした恋愛に熱い友情に理解ある家族などに充実した中学生とか、

冷めた愛や絆のない友達、疎遠な家族など訳アリ生徒とかなのに、

彼はそこに入りたがらない。


だから穂ノ香は好きだった、その大人びた目で見える世界を自分だけのものにしてみたった。



「アイツなんでモテんだよ、望まない妊娠の結果なのに」

「ギャハハ! ふしだらな親とか勘弁」

三組の笑い声は、まるで子供が大事にしているおもちゃ箱を蹴り飛ばしたみたいに汚い。


  好き、なのに。

どうしてこんな状況で恋に浸れる?

なんだか穂ノ香は嫌な気持ちばかりが増えた。
こんなクラスなんか大嫌いでしかたがなかった。


「はいはいうるさいぞ、意見が出ないなあ、文化祭のアイデアを明日の朝の会までにメールするように。」

頬杖をついた担任は日誌を開きながら話し、教室の中を見渡そうとはしなかった。

吐き出された言葉は無感情だから、誰にも響きやしない。


「じゃあ学級会はオシマイなー、残りは自習しなさい」と、

こんな風に面倒臭そうに指示を出す担任にやる気がないのではなく、

穂ノ香たち生徒が何も今を頑張ろうとしないから、

大人がこうも死んだような雰囲気をいつも漂わせるのだろう。


ほら、ある人材が足りない三組は面白みがゼロで悪循環ばかりだ。

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