保身に走れ!
分かりやすく言うなら、サボることダラけることが皆に憧れられる一流オシャレな人の性質で、
髪やらメイクやらの校則違反や集会で私語をやめないことがモテる人の条件みたいな流れで、
極端に説明すると、頭が良いイコールがり勉、経験人数が多いイコール勝ち組、
ブラインドタッチができるイコールPCおたく、みたいな偏見だらけで相手をカテゴリーにわける世界に変わってしまっていた。
そうなると、仲良しグループにはギャルを頂点に可愛い組、
明るい組、癒し組、普通組、最後が地味組といった流れのランキングが確実にあった。
それが幼い思春期の風潮だなんて、穂ノ香は当時まだ中学三年生だからよく分かっていなかった。
たとえ分かっていようが彼女の性格上、誰にも何も物を申せないのだけれど、
とりあえず真面目が取り柄な人間の価値は、彼女たちの世界で非常に低かった。
つまり、友達になりたいリストに名が挙がらない存在感が薄いキャラクターに周防穂ノ香も当て嵌まっていた。
――そして受験生の時、彼女のクラスはまさに険悪ムードだった。