保身に走れ!
昔の映像ばりのまだらな眉に下から見たら余計悲惨な団子鼻、季節問わず粉をふいた肌に矯正をすすめたくなる不揃いな歯並び、
特注サイズの制服でも賄えない体つき、外見的な面以外にも、
相手のレベルで態度を変える性格や英検三級に落ちる学力などの内面、
そして皆に嫌われている役柄で、
なぜ、そのような醜い女が異性に想いを伝えられるのか、穂ノ香には船場の神経が意味不明だった。
【船場が告るとか
爆笑だぁね♪♪♪♪
普通に振られたらしぃ
逆に船場ラブ(^0^)/】
愛嬌あるぽっちゃりサンではなく、明らかに肥えている亜莉紗のような底意地が悪い奴にさえ、
こうやってメールでイジられるキャラクターの癖に、
あろうことかイケメンだと噂されるデキ婚があだ名の少年に堂々と告白ができるなんて、
穂ノ香には、まったく理解できやしなかった。
どの面さげて『好きです』と、言ったのだろうか。
上手くいくとでも思ったのだろうか。
デキ婚は『デキ婚だから』と、三組だと陰湿に笑われ蔑まわれているが、
デキ婚というバックボーンがあろうがなかろうが、
甘さを秘めた清潔な顔立ち、爽やかなオーラ、ただノートをメモするだけでも様になるスタイル、
チャーミングな話術、何をとってもとにかく学年きってのイケメンで、
穂ノ香や亜莉紗や船場や嶋とは、中学社会ならばジャンルが別の尊いポジションだった。
あのダルマがあのデキ婚に『付き合ってください』と、愛を伝えたらしい。
最高に笑えないジョークだと、誰かを否定し己の居場所を確保するひたむきな穂ノ香は笑うしかなかった。