【5】隣人の森
 程なくして、私は喉の渇きを覚えた。無性に水が飲みたい。しかし、何も出来なかった。

「水が欲しい」

 私は一人で呟いた。

 時間だけが無情に過ぎていった。

 辺りは暗くなり、夜になった。私は虫や獣たちの声に震えた。背中合わせの木に身を擦り寄せて、森の恐怖に耐えた。
 しかし、それもつかの間の出来事であった。疲れきっていた私は、深い眠りに落ちた。
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