Rain 2
『出てって…』


『知香…俺…』


『もう出てってゃぁ…ぁ…お願いやからもうあたしの目の前から消え…て…もうこれ以上苦しめんとってよ…』


『ごめん…』




聖夜は黙って病室を出て行った。


あたしが夢見た未来は…

もうない…






『うぅ…っ…』



どれだけ泣いたんだろう。


冷たい涙が枕を濡らしていた。



あたしが失ったもうひとつのもの。



それは人を愛する気持ちだった。






愛した人からの裏切り。




聖夜とお父さん。


二人はあたしを捨てた。



あたしよりもあの子を選んだ。



信じた人に裏切られた気持ちはたまらなく苦しいものだった。



いっそのことあの時…

出血多量で死んでたらよかった…
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