Rain 2
『知香ちゃん…その地面の字読んだ?』


『あ…この地面に書かれてるやつのこと?』


『そう。全部読んでごらん。それね、いつからか知らないけどこの病院ではずっと増え続けてるんやって。死にたいと思ってここに来た人や、それを見て生きることを考え直した人が書き続けてるの』





不思議だった…。



死にたいと思ってここに来た人が、これを読んで生きる意味を自分に問うの?



でも確かに…

あたしは気になって見てしまってた…





『ここはね、病気を治して生きたいと思ってる人や生きたくても生きていけない人が頑張って治療してるとこなんだよ。たくさんの人がいるの』


『うん…』


『でも苦しかったり辛かったりして生きていく望みをなくしてしまう人もいる。だけど考えてみて?それで喜ぶ人がおるんかな?』



あたしが死んで…喜ぶ人?



『分か…らん…』



あたしはそう答えた。



『いい加減にしい!何で分からんの!』



びっくりした…。



千春さんがあたしに怒鳴ったからだった。




いつも優しかった千春さんが…あたしに怒ってる。
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