Rain 2
あたしはどうしても納得できなかった。



だから…夜中に病室をぬけだしてまた聖夜のところに行った…。




ICUには看護婦さんもいなくて、余裕で中に入れた。



まぁばれてもお父さんの許可もらったって言えばいいか…




あたしはそっと聖夜のそばにいき、立ったまま上から顔を見下ろした。





目の前がうるんだ。


悔しくて涙が出そうだった。









『何で泣いてるん?』


『えっ…』



聖夜はこっちを見てあたしにそう言った。



聖夜…あたしのこと思い出したん?






『あたしのこと分かるん?思い出したん?』


あたしは必死で聖夜に聞いた。


『ごめんなさい…知香さんでしたよね?』


でも…一瞬で現実に引き戻される。




『ほんまに…分からんの?あたしあなたと…』


そう言いかけた時、お父さんの言葉を思い出した。




“術後間もない時に脳に刺激を与えたらあかん”って…。



自分で思い出すまで待つしかないって…。
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