Rain 2
『千春さん…あのね、聖夜事故で頭強く打ったみたいやねん』


『うん、そうみたいやね。出血もかなりあったみたいやから。でも昨日目を覚ましたみたいやし大丈夫やと思うよ』


『千春さんお父さんから何も聞いてない?』


『ん?何をかな?』



千春さんやっぱりまだ聞いてないんだ…。



『聖夜な、記憶喪失みたいなのなってるみたいで…でも分からんのはあたしのことだけやねんて。他のことは覚えてんのにあたしのことだけ忘れてるねん…』


『そう…。で!でも私もたくさんの患者さん見てきたけど記憶喪失になった患者さんは何かのきっかけさえあれば突然治ったりするし気長に待ってみようよ』


『そうですね…』



そう言ってはみたものの、気長になんて待っていられるわけもなかった。



あたしの知らない時間が聖夜の中で流れてるんだから…





『とにかくご飯は食べないとあかんよ。ね?』



千春さんにそう言われ、仕方なく無理矢理口に昼食をつめこんだ。



そういえば最近ご飯を食べておいしいって思ったことなんてあったかな?


食欲もないのにただ口にいれて噛んで…
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