Rain 2
『そん時に目ぇ覚めたね。私はそいつにとってお金でしかなかったんやって。だからその話断ってお店も行かないようになったら毎日あった連絡もパタっとこんようになったわ』


看護婦さんは深いため息をついた。



『悔しくなかったんですか?悲しくなかったん?』


『そりゃ泣いたよ。騙されてた上に貯めてたお金もすっからかんやし。でもね、いい勉強になったなぁと思った。逆に感謝したね。私は信じて裏切られたけど、信じたことは後悔してないから。好きになったことも後悔してない。だって一瞬でも幸せやったんやもん』




幸せ…?

そう思える?




『ま、そう思えるまでにはかなり時間かかったけど。おかげで男性不信になって彼氏作られへんかったしね。最近かな…前みたいに笑えるようになったのは』


『そうなんやぁ…』


『でも一瞬でも死にたいとか思ったことはあかんなぁと思った。私は看護婦やのに…って。たくさんの人の生死を見てきた立場やのにって』





お父さん達医師や、千春さんみたいな看護婦さん達は日々人の生死に関わる現場で働いている。


死を見届けることもあれば生死をさ迷う人を助けたり。
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