Rain 2
『あの…森崎さんですよね?』
『はい…』
静かな病室で息子さんがそう声をかけてきた。
『今までありがとうございました。担当の看護婦さんがいい人やって親父が電話でいつも言ってました。水を毎日変えてくれるから花もいつも綺麗に咲いてるし、よく話を聞いてくれるから毎日楽しいって…』
『あ…あぁ…』
『だから心配せんでもいいぞって…。看護婦さんが親父の支えやったみたいです。実の子供より…情けない話なんですけど』
『いえ…私はそんな…とんでもないです』
千春さんはそれから色々な話を聞いた。
おじいちゃんは息子さん達にお見舞いはあまり来ないでいいと言っていたこと。
お見舞いに来たら千春さんの話ばかりしていたこと。
息子さんは東京、娘さんは高知県に住んでいたこと。
なかなかお見舞いに来られなかった理由を初めて知った。
娘さんが泣き声をあげても涙が出なかったのは悲しさを通り越してしまったからだった。
息子さんが何も言わずに突っ立っていたのも最期を看取れなかった情けなさからだった。
『はい…』
静かな病室で息子さんがそう声をかけてきた。
『今までありがとうございました。担当の看護婦さんがいい人やって親父が電話でいつも言ってました。水を毎日変えてくれるから花もいつも綺麗に咲いてるし、よく話を聞いてくれるから毎日楽しいって…』
『あ…あぁ…』
『だから心配せんでもいいぞって…。看護婦さんが親父の支えやったみたいです。実の子供より…情けない話なんですけど』
『いえ…私はそんな…とんでもないです』
千春さんはそれから色々な話を聞いた。
おじいちゃんは息子さん達にお見舞いはあまり来ないでいいと言っていたこと。
お見舞いに来たら千春さんの話ばかりしていたこと。
息子さんは東京、娘さんは高知県に住んでいたこと。
なかなかお見舞いに来られなかった理由を初めて知った。
娘さんが泣き声をあげても涙が出なかったのは悲しさを通り越してしまったからだった。
息子さんが何も言わずに突っ立っていたのも最期を看取れなかった情けなさからだった。