Rain 2
あたしの幼い頃を知ってる人はもうお父さんだけだ。


昔話をできる相手なんて他には誰もいない。



お母さんが生きてたら、聞きたいことたくさんあったのにな…。


あたしは幸せだった頃の思い出を、あんまり思い出せなかった。




物心がついた頃にはお母さんとお父さんは離婚していたし、あたしには全く知らないことだらけだったから。






『音鳴らしながら歩き回ってた頃が懐かしいなぁ…早いもんやな…大きくなるのは』


お父さんは少し寂しそうだった。




なぁ…
少しは後悔してる?

あたし達を置いて出て行ったこと。


幸せじゃなかったん?

あたし達家族は…



あたしは
心の中でそう聞いた。



でも…
本当の声には出せなかった。
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