Rain 2
(コンコンッ)


お父さんがガラスの扉を叩いた。


あの子は重そうにまぶたを開くと、こっちを見てニコッと笑った。



お父さんがそこにあった電話みたいなものを手に取ると、あの子も近くにあった同じような電話に手をのばした。





『大丈夫か?…そうか。起き上がるのしんどいやろうから寝て待っててくれよ。うん、うん、分かった』


お父さんはそう言うと、電話を元の場所に置いた。




え?終わり?

あたしがあっけにとられていると、お父さんがあたしに言った。


『これに着替えてくれ』

と。


髪が出ないようにと帽子も渡された。



早い話が、無菌室に入るには表のどんなに小さいばい菌も入ってはいけないからということだった。


あたしは渋々着替えて帽子を被った。


要するに今からここに入るってことやんな…


初めて入る無菌室に、一瞬ちょっとびびってつばを飲み込んだ。




(コンコンッ)


その時…あいつが現れた。
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