Rain 2
『なぁ、聖夜の元カノの名前知ってる?』


『香織ちゃんやった?多分そんなんやろ?』


『名字は?』


『知らん』


『石井やで』


『は…?』



陸は一瞬黙り込んだ。



『石井香織。なぁ、あたしの小学生の頃の名字は?』


『…石井…やろ…』


『あたしのお父さんあたしが生まれる前からずっと不倫しててん。その人と再婚もした。香織はあたしと同い年やけどお父さんの子供やねん』


『嘘…やろ』




あたしも何度願ったか。

嘘であってほしい、
夢であってほしいと。




『あたしも知らんかってん。でもお母さんからは聞いててさ。んで、お母さんが亡くなって初七日の日に初めて会ってんな。で、再会したのが聖夜の元カノって形やった…』


『昼ドラやん…』



陸の言葉が珍しく理解できる。

そりゃそうやんな…。
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