未完成なアタシと君と。


「まあ、学校って言っても明日で終わるんだけどね」


彼は、卒業式を目前にしていた。
私は結局、彼と同い年ということになり、彼の学校をうけることになった。
博士が言うには、お金でなんとかなるとか。
…やはり、私が知らないことは出てくるものなのか。
知りたい。


「あと、これ」


そういって渡されたのは携帯電話。
博士がよく使っているのを覚えている。


「俺と父さんの番号入ってるから、いつでも連絡してきて」

「かしこまりました」

「かしこまるなよ、違う意味で」


私が言ったかしこまりましたは、了承の意。
彼が言うかしこまるな、はきっと“固くなるな”の意。
きっと、優しい人。




小宵は、誰だったのだろう。
懐かしいのに、思い出せない。

思 い 出 す ?

私は作られたのに?
思い出すものなどないはず…




『こよい、小宵、起きて、小宵』


………ああ、分かった。







“小宵”は











未完成のまま











作られて捨てられた











少女。

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