大嫌いです、たぶん本気で
「美味しい?」
「…はい」
冷たいアイスは口に含むと滑らかに溶けて。
……高そう。
周りをチラリと見れば、綺麗に片付けられた広いリビング。
高層マンションの最上階に住んでいるなんて、もしかしてお金持ちなのだろうか。
「さくら」
「何ですか?」
「俺の部屋行こ?」
「いえ、帰ります」
アイスを食べれば、此処に留まる理由もない。
「え、やだ。ほら、行こ」
「いや、だから……」
強引に手を引かれて、もう抵抗するのも面倒。
「はあ…っ」
大きく溜め息を付いたのに、手をひく強さは変わらない。
聞こえないふりは先輩の得意技。