ボクの涙がキミの翼になる。
練習用ユニフォームに着替え、外に出てみる。すると、先輩達の鋭く尖った視線が俺達の体身中に突き刺さる。
「何か恥ずかしいな…」
二人で顔を見合わせると、視線をかい潜るように守備位置に付いた。
「次!センターいくぞ!」監督の声が響くと、今までの連中とは明らかにスピードが違う打球が俺を襲う。それはそうだろう、今までサボり続けたツケが回って来たのだ。
「パシィ!ビュッ!!」
それを軽く処理すると、部内は騒然とした。俺が得意な顔をしていると、野球部用グラウンドの周りでアップしていた陸上部の中からマミの声が飛んで来た。
「がぁんばぁれよぉ!」
せっかくいい気分に浸っていたのに、一瞬で冷めてしまった。それに引き換え…
「レフト!行くぞ!」
「よぉし!来ぉぉぉい!!」
ゲンキはやけに気合いが入っていた。
「パシィ!ズザァ!ビュウッ!」
いつでも孤立していて"光・陰"で例えれば"陰"の方にいる彼が、輝いていた。恐ろしいものだ。恋とはこんなにも人を変えてしまうのか…。
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