君が好き
【北条】
日向が部屋を出た後、俺はその後を追って屋上に来た
…つい勢いで来たけど…
入ってもいいのか…?
ギィーっとゆっくり扉を開ける
開けると同時に、ほんのり冷たい風が吹く
そのまま風に押されて重たくなった扉を押して中に入った
周りを見渡さなくてもすぐにわかる
フェンスの側でこっち向きに座っている日向
声をかけようとしたが、顔を上げない
不思議に思って、日向の側まで近づいた
すると、顔を上げた日向を見た時驚いた
少し目が赤くなっていて、うるうるしてる
おまけに、地面が数敵の滴でぬれてる
雨も降りそうにない天気だ
きっと、泣いたんだろうな…
状況を読めた俺は日向の隣に来て、フェンスに両手をのせて背をもたらしながら空を見上げた
少しの沈黙があって、鼻をすする音と共に日向が話しかけてきた
「…和希、何も聞かねぇのかよ…」
「聞いてどうすんの?
俺に頭でも撫でて欲しいわけ?」
「…光の方がいい…」
「ブハッ!
そりゃそーだ!
俺も撫でるんなら光の方がいいわ」
「…光に手、出すなよ」
「そんな鼻すすられながら言われてもねぇ〜?」
「…うるせぇ」
ハハハと笑う俺に、日向はそっぽを向く
けど、その顔は赤くなっていた