君が好き
デート
そして明後日、つまり約束の日の土曜日が来たのだ
「何ねぇちゃん、おしゃれなんかしてどっか行くの?」
ソファに座ったまま背をもたれて首を上に上げて、私を見ながら尋が聞いてきた
「ふふふ、そうよ
今日はお姉ちゃんデートなんだから!」
自慢気に言う
「ふーん」
薄い返事をしたかと思うと、尋はすぐにテレビに眼を戻してしまった
そんな反応するんなら最初っから聞かないでよね…
出かける支度もできた私は玄関に行って靴をはいていた
すると後ろから
「光、気おつけてね?
気分が悪くなったら早く帰ってくるのよ?」
お母さんは心配そうな顔していた
「大丈夫、大丈夫!」
笑顔で言う私に「そう?」と首をかしげる
お母さんたちは退院の日、どうしても仕事が終わらなくて来れなかった
日向くんやみんなが来てくれたけど、本当は少し寂しかった
でも今こうして心配してくれる
「あ、そろそろ行かなきゃ!
じゃあ、いってきます!」
「いってらっしゃ〜い」
だから、それだけでも嬉しいから別にいっかって思える…
12時25分
また早く来すぎたかな…?
何か緊張する…
服、変じゃないかな?
髪型ちゃんとなってるかな?
そわそわと携帯の時計をチラチラと確認する
まるで初デートの時みたい
でもあの頃は日向くんと付き合えるなんて思ってもみてなかったな……
「光、お待たせ」
声がした方を見る
うわ〜
日向くんの私服、やっぱりかっこいいな〜
時刻を見るとちょうど待ち合わせの時間の12時30分
「さて、じゃぁ行こっか」
自然に手を握られて歩き出す
うわ〜、うわ〜!
何かすごくデートっぽい!
…いや、デートなんだけどね…?
ドキドキしてる
私のドキドキ、手から日向くんに伝わってないよね…?