君が好き


「さて、ホントにそろそろ帰るか」



「うん!」



キレイな夕日も見れたし、私は満足していた



まだ消えかかってない夕日に背を向けて、日向くんと手を繋いで歩く



今日はいいデートだったな










「日向」



「ひと…み…」



ビクンッと体が反応する



ひと…み?



下に向けていた顔を上に向けた




この人が、瞳さん?



その人は、いつか見た、日向くんの幼なじみの由佳里さんと同じぐらい美人だった



茶色いロングヘアは風でなびいている



丘をおりたちょっと行ったところで出会った



聞いてはいたけど、まさかこんなにキレイだなんて…


繋いでいた手がスルリとほどける






「日向、久しぶり〜
って、何その子?
もしかしてその子が新しい彼女?」



「……」



日向くんは黙っている



瞳さんはツカツカと私の目の前まで来て、マジマジと顔を覗かれる



私は反射的にのけぞってしまった



「おい、瞳…!」



「ふ〜ん、まぁまぁね
ま、私には負けるけど」



右手で前にきた後ろ髪をバサッとはらいのける



もしかして瞳さんってナルシスト?




でも、夕日が背景になっている瞳さんはすごくキレイに見えた



「何で…お前がここにいるんだよ…」



「ちょうど通りかかったところに日向たちがいたのよ
…すごく楽しそうにね
ムカつく…」



険悪な表情をしている日向くんに対して、瞳さんはニヤっと笑う



日向くん後ろに私をやった




「へー、彼女を守る日向ね〜
かっこいいじゃん」



ニヤニヤと笑いながら日向くんに近づいてくる



そして、日向くんの耳元で何かをヒソヒソと話していた



私には何を話していたのかよく聞き取れなかった








「……光」



「ん?」



真剣で、切なそうな顔…



にくらべて、瞳さんはずっと笑ってる



さっき、何話してたんだろ…















「別れよ……」















「え……?」











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