君が好き


突然空が曇り始め、ポツポツと雨が降ってきた



「きゃっ!
何、雨!?」



最初はちょっとづつだったのが、一気にザーと降る



「日向、早く屋根があるところに行こ!」



「…光!」



呆然と突っ立っていた私に日向くんが駆け寄ろうとしていた



そんな日向くんに呼ばれて我に帰る



「ちょっと日向、早く行くよ!」



「けど光が…!」



「別れたんでしょ?
じゃぁもうただの他人じゃない」



瞳さんの言葉が胸に突き刺さる



他人…



私たちは別れたらもう他人なのかな…?



クラスメイトでも友達でもない、ただの…他人…



「他人って…!
例え別れたとしても、俺たちは友達だ!」



「何ムキになってんの?
どうでもいいわよ、あの子なんか…」



「お前にとってはどうでもいいことかもしれねぇけど、俺にとってはどうでもよくねぇんだよ!」



「知らないわよ、そんなこと!」



二人は激しく降る雨の中、雨の言い争っていた



けど、瞳さんは絶対日向くんの手を離さなかった



日向くんも瞳さんが握っている手を振りほどこうとはしていなかった



辛い…



胸が、苦しい…



「…めて…」



「…やめて…!」



大声を上げて二人に言う



雨の音でかき消されそうだった



「私は…もう友達には戻れないよ!」



「光…」



「友達に戻ったとしても、上手く話せない!
顔も見れない!
もう、会うのも…嫌だよ…」



痛い、痛いよ…



別れても友達だって、日向くんが言ってくれた時、すごく嬉しかった



でも、もう戻れないんだよ…



学校では同じクラスだから出会っちゃうけど、顔も合わさないし、目も合わさない



挨拶だってしない



私と関わったら、日向くんはきっと私のことをずっと忘れられなくなる



私も、日向くんのことを忘れられなくなっていつまでも引きずってしまうかもしれない



だから、もう関わらない方が日向くんと私のためだよ……






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