君が好き
「ん……」
ゆっくりと目を開ける
甘い香り…
私の部屋、こんなに甘かったっけ…?
意識がもうろうとする
視界もまだハッキリしていない
「光ちゃん?
目覚ましたのね?」
顔を覗きこんで来たのは由佳里さんだった
「由佳里…さん?」
「も〜、ビックリしたわよ?
部屋に入ったら光ちゃんが倒れてるんだもん」
「…ごめんなさい…」
思い出した
私、由佳里さんの部屋で倒れちゃったんだ
また迷惑かけてる…
もう誰にもかけたくないのに…
「ど、どうしたの!?
痛いところでもある!?」
慌てる由佳里さん
私は、泣いていた
痛いところ…
あるよ?
胸が、すごく痛い…
針で刺されるようにチクチクする…
この痛みは治るのかな?
この痛みが治ったら涙も止まるのかな?
……何もわかんないよ……
「光ちゃん、今日は泊まってって
そんな倒れるぐらいの体してるのに、帰らせるわけにはいかないわ」
「で…も…迷惑かける…」
もう、嫌なの…
「いいわよ」
「え……?」
「迷惑かけてもいいの
人なんてね、周りに迷惑をかけながら生きていくもんなのよ?
だから、光ちゃんの1つや2つの迷惑なんて楽な方よ」
笑って言う由佳里さんは、今の私にはキラキラしているように見えた
人は迷惑をかけながら生きていく…
その言葉が胸に突き刺さった
そうなの…かな…?
「ケータイ貸してね、家の人には電話しておくから
光ちゃんはゆっくり休んで…」
ガチャン、と出ていく由佳里さんを見送った後、私の意識はまたもうろうとして深い眠りに落ちていった…