君が好き
【北条】
「なんだよ、こんな人気のないとこに呼んで…」
昼休みに、人があまり来ない教室に呼び出された
キョロキョロと辺りを見回す
物置になっている教室みたいだ
「急に呼んでわりー…」
「いや、別にかまわないけどさ…
何かあったわけ?」
「…やっぱお前はスゲーな
エスパーかよ…」
クククと笑う
「エスパーね〜
だったら苦労はしねぇだろ」
「確かにな!」
二人してハハハと笑い会う
けど、何でここなんだ?
他にも場所はあるはずなのに…
「で、話って何だよ〝日向〟…」
俺は窓側にもたれて、日向は教卓の上に座って本題に入る
「あー…
和希、お前に頼みがあるんだ」
「頼み?」
日向から頼みがくることは滅多にないのに…
どうしたんだ?
黙って待っていると、日向はゆっくり口を開いた
「光の側にいてやってくれ」
「…は?」
突然のことに驚いて間抜けな声が出た
いや、まぁそこはいいとして…
「どういうことだよ、それ…」
腕を組んで日向を睨む
けど日向も真剣な表情で俺を見ていた
「言葉通りだよ
光の側にいてやってくれ」
「…意味分かんねぇよ!」
俺は感情的になって、座っていた日向の胸ぐらを掴んだ
その拍子で日向はバランスを崩し、後ろにひじをつく体勢になった
「いって…」
「意味…分かんねぇ…
光と付き合ってんのはお前だろ!?
俺じゃなくて、お前が側にいてやんねぇといけないんじゃねぇのかよ!」
俺が側にいてやりたいのは山々だが…
「俺は、日向の代わりにはなれないんだよ…」