君が好き


それから午後は時々日向くんと目が合ったりしたが、そらしたり、そらされたりしてしまった



近づくことも、話すこともなく…放課後になった




「じゃぁ光、あたしたち部活に行くけど、何かあったらメールでも電話でもしてね!」



「うん」



「今日ぐらいは一緒に帰ってあげたかったんだけど…」



「あたしも奈緒も試合が近いからね…」



私の手をとって二人ともしょんぼりする



「大丈夫だよ、二人は試合に向けて頑張って!」




笑顔で言うと、それを見た二人も小さく笑ってくれた


「じゃぁ気をつけて帰ってね!」



「うん、またね〜!」



部活に向かう二人の後ろ姿に手をふる



二人が行った後、



「また、一人か…」



小さく呟いた









玄関へきて、下駄箱から靴を取る



一人で帰るのは懐かしいな…



日向くんと付き合う前はいつも一人だった



…そうだよあの頃に戻ったと思えばいいんだよ



日向くんと付き合う前の頃に…



そうすれば何も考えることなんてない



なのに、どうしてだろ…



どうしてこんなに痛いんだろ…



右手で心臓の場所を服の上からギュッと掴んで、その場に崩れる



目からは涙が流れ出していた









もう、どうやって一人で帰ってたのかなんて忘れちゃったよ……





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