君が好き


そんな時、キキー!といきなり電車が急ブレーキをかけて止まった



「キャッ!」



その拍子でバランスが崩れてよろけそうになる




そんな私の肩を北条くんが触って、自分の方に近づけた



密着する私と北条くんの体…



「ほう…じょう…」



「俺に捕まってて
ちゃんと光を守るから!」



いいかけた名前を北条くんの言葉でかき消されてしまった



ギュッと北条くんが掴む手に力が入る



北条くん…




それから電車は何度か急ブレーキをかけることがあり、人がバランスを崩していくなか、北条くんが壁となって私がつぶれないように守ってくれていた






「は〜、やっと出れた〜!」



パンパンだった人混みの中を出て腕を伸ばしながら楽になったのを味わう



「光、俺がいなかったらあぶなかったね
絶対人混みの中でつぶれてたよ」



ククク、とお腹を押さえて笑う北条くんに私はほっぺたを少しふくらませた



「も〜、そんなに笑うことないじゃん!」



プイッとそっぽを向く



「ごめん、怒んないでよ」


と言いながらもまだ笑っていた



もう…電車の中で守ってくれていた時はかっこいいなって思ってたのに…



ふぅ、とため息をついて顔を前に上げてみた



「あ、アイス!」



目の前の先には美味しそうなアイスクリーム屋さんがあった



「北条くん、アイス食べよ!」



まだ3月でちょっと肌寒いけど、さっき人混みの中にいたせいで体がポカポカしていて暑いからちょうどいいと思った



「ほら、早く行こ!」



小さな子供のようにはしゃいで北条くんの手をとってアイス屋まで急いだ



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