君が好き
あのお店の料理は予想以上においしかった
「さて、人もさっきより少なくなってきたことだし、そろそろ行こう」
「うん」
手を繋いで歩き出す
あれから15分ぐらい歩いた所で、目的地に着いた
「すごーい!」
そこは周りに円型の階段があって、真ん中に大きな噴水があった
確かに私たちの住む方には噴水が1つもない
「噴水、初めて見るかも…」
あまり自分が住んでいる街から出ることはないからね…
眼を輝やせながら釘付けになって見ている私に、北条くんはクスクスと笑いながら満足そうな顔をしていた
「噴水凄かったね!」
「うん」
結局あの後ずっと噴水を見ていた
いろいろ形が変わって飽きなかったのだ
「また見に行きたいね〜!」
「そうだね」
中々興奮が止まらない
そんな私の話を北条くんは笑顔で聞いてくれていた
楽しい時間はあっという間に過ぎていく…
「光…」
「ん?」
楽しく歩いているところで北条くんがうしろでピタッと止まった
「どう…したの?」
振り返って様子を見ると、下を向いたまま動こうとしない
「光…俺さ…」
北条くんが何かいいかけた時、ピリリリリッ!とケータイが鳴った
「えっ、えっ!?
ごめん、私のだ!」
メールかと思えば、電話だった
しかも、由佳里さんから…
「出ていいかな…?」
「いいよ…」
話を中断して、ピッと電話に出る
「もしもし?」
『もしもし、光ちゃん!?
由佳里なんだけど…』
「どうしたんですか?
そんなに慌てて…」
『……静かに聞いてね……?』
「はい…」
何だか緊張した空気が流れて嫌な予感がする…
『さっき日向のお母さんから連絡があったんだけど…』
『日向が事故にあったらしいの…』