君が好き
「日向くん!?」
ガラッと勢いよく病室の扉を開く
「…っ
瞳さん…」
ベッドで横になって酸素マスクをしている日向くんの隣には、真っ青な顔をした瞳さんがイスに座っていた
「前田…」
「何、二人して…
日向は返さないし、渡さないわよ…」
瞳さんは私たちを見るなり、キッと睨んで言った
こんな時だというのにも関わらず、この人はこんな時までそんなことを言うのか…
私は瞳さんに呆れて言う言葉も出なかった
「前田、ちょっと来い…」
「な、なによ…」
「いいから来い!」
「きゃっ!」
北条くんは座っていた瞳さんの腕を掴んで強引に立たせ、一緒に病室から出ていってしまった
ピッピッ、と心臓の脈拍を図る機械の音だけが部屋に響く…