君が好き
【光】
「何、聞いて欲しいことって…」
眼を覚ました日向くんに、先生を呼ぼうとして立ったところ、腕を掴まれて聞いて欲しいことががあると、またイスに座らせられた
「光…ごめん…
俺光のためにって別れたけど、ホントは自分のためだった…」
「どういう…こと?」
「別れる前、瞳は俺に「この子と別れないとこの子を傷つける」って言われたんだ」
「俺はそれでも守るつもりでいた…
けど、瞳の家はヤクザ柄みがあるんだ
だからもし本当に言ってるんだったら俺の力じゃ守れない
だから光に別れを告げたんだ…
光が無事ならそれでいいって…」
「……」
「けど違ったんだ…
それは俺の思いだけで、光の思いをちゃんと分かってなかった…
学校に行っても光はいつも少しだけ元気がなかった
俺のせいで…俺が、光を傷つけた…
だから俺にはもう光と話す権利なんてないと思ったんだ」
しゃべり続ける日向くんは涙を流していた
「あれからずっと後悔してた
何であの時別れたんだろう…
何で守ってあげれなかったんだろうって…
ごめん、光…
ごめん…」
ポロポロ泣き出す日向くんに、私もつられて涙が出てきた
私が悲しんで後悔してた時、日向くんも同じように後悔して悩んでてくれたんだ…
別れた日からずっと空いていた距離が、少しずつ戻って行ってるような気がした
「光、最後に言ってくれた言葉、ちゃんと聞こえてたよ?」
「…私、何て言ったっけ…?」
日向くんは小さく笑いながら
「大好きだったよって…」
と言った
この言葉は別れた最後に言ったやつだ
「良かった、あの時雨降ってたし、聞こえてないじゃないかって思ってた…」
「聞こえてた…
すごく、嬉しかった
俺はちゃんと光に愛されてたんだって分かったし…」
「ねぇ光、もう遅いかもしれないけど…」
「うん…」
「もう一度、俺の側で笑っててくれる…?」