君が好き

私は恥ずかしくなって、下を向いた



すると



「へ〜、日向彼女できたんだ?
てことは、前の彼女とは別れちゃったんだ?」



ニヤニヤとして言う由佳里さんは、なぜかチラッと私の方を見る



それに気づいた私は首をかしげた



実はというと、私は日向くんに元彼女がいたなんて知らなかった



でもだからといって、知ってもどうということはない


今、日向くんは私の側にいるのだから…



「おい、何で今あいつの話が出てくるんだよ…?」



由佳里さんの質問に少し機嫌が悪くなる日向くん



「別に、ただ聞いてみただけよ」



そう言って、ポンッと日向くんの肩を叩いて



「まぁ、がんばりなさい」


と耳元でささやいて、由佳里さんは行ってしまった



日向くんは去って行く由佳里さんの後ろ姿を見ながら、



「たく、結局なんだったんだ?」



頭をクシャクシャとかきながらボソッと呟いていた



私は小さくクスクスと笑う


それを見た日向くんは



「がんばりなさい…か…」


また小さく呟く



そして、すっと私に差し出される左手



「…帰ろう」



日向くんに顔を向けると、微笑んでいた



「う…ん」



ゆっくりとその手を握る



すると、握り返されて、一瞬心臓がドキンッと鳴った


私たちはまた隣に並んで歩き出す



日向くんの手は、すごく暖かかった…





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