君が好き

それを見た私は、一瞬気が遠くなりそうだった



なん…で…?



ただその言葉だけが頭の中をグルグルと回った



と、気づいたら、私は走り出していた



もと来た道をどんどん走る


眼は涙でいっぱいだった



「う…ぁ…」



声が出てきそうになるのを必死に止める



今ここで大声だしたら日向くんに聞こえる…!



そう思って、歯で下唇を噛みながら痛いのと、苦しいのを我慢した



そして、近くの公園に着こうとしたころ、息が切れて足がへにょへにょになった


すると、ガシッと誰がに腕を捕まれた



「ちょっと…待ってよ…!」



振り返ると、息を切らした北条くんだった



「北条くん…」



涙を止めたかった



必死に袖で涙を拭いたけど、いっこうに止まらず出てくる



「う…ぐっ…」



「……とりあえずさ、どっか座ろう?」



そう言われ、私は公園にあるベンチに座った



涙は止まる気配もなく、しゃっくりも出てきた



そんな私に、北条くんは黙って隣に座る





ーーそれから数分後ーー



「ひっ…く
うぅ…」



涙もだんだん止まってきて、少し落ち着いてきた



「ちょっとは落ち着いてきた?」



「……うん」



もう外は真っ暗なのにずっと私のそばにいてくれた



「…大丈夫?
もう暗いのに…お家の人に怒られない?」



涙をふきながら聞く



「大丈夫
さっきメールしたし」



「そっか…」



安心してホッと息をつく



「野崎は?
電話かメールしなくて大丈夫なのか?」



心配したような顔をした北条くんが聞いてくる



「大丈夫…
時々奈緒の家に行ってて、遅くなることあるから…」


「そっか…」



会話が終わると、またしても沈黙になる



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