君が好き
そんな時
「野崎!」
と呼んでやってきたのは、北条くんだった
「ん、何?」
首をかしげて聞く
もう私は北条くん緊張するということはなくなっていた
「あ、いや…
今から帰るんだろ?
…1人で大丈夫か?」
テレたような、心配したような表情でほほをポリポリとする
たぶんこの前みたいに、また日向くんが女の人と抱き合ってるのを見るんじゃないかと、心配してるんだろうな……
でもあれはただの偶然で目撃しちゃっただけだし…
今度は大丈夫だよ
私は笑顔で
「大丈夫!」
と答えた
北条くんはフッと笑って
「そっか…」
と言って、私の頭をポンポンと撫でた
「光、あたしたち部活があるから一緒に帰れないけど、気おつけてね?」
「うん」
「何かあったら電話して〜」
「うん」
「じゃっ」
「バイバーイ」
部活に行く奈緒たちを笑顔で送って1人、玄関まで歩いて行く
ズキッと胸が痛んだ
大丈夫、大丈夫だよ…
心配ないから……
きっとあの時日向くんにも何か理由があるんだよ
信じてあげなきゃ…