君が好き
何…で…?
私は持っていた傘に力がなくなっていくように、下へポスッと落ちていった
雨が止んだわけじゃない
むしろさっきより激しくなっていく
けど、再び傘に力を入れることはなかった
「日向…くん」
ポソッと呟く
雨の音で反対側には聞こえない
何でこんなところにいるの?
学生服…
ってことは学校から出てからも、ずっとここにいたってこと?
今一緒に話してる人、この前日向くんと抱き合ってた人…
ねぇ、答えてよ…
その人は誰なの…?
ねぇ、誰なの…!?
自分の中で何回も聞こえるはずのない思いを日向くんに向けて問いかける
そうしている内に、女の人はいきなり日向くんにしがみついた
日向くんは抵抗しようともせず、突っ立ったまま…
涙がボロボロとこぼれてきた
もう、これ以上見てられない!
バッと前を向いて、走り出そうとした時、目の前に人がいた
涙で視界がボヤけて見えたけど、わかったのは私より背が高くてガッチリとしたいい体型の人
男の人だ…
ボヤけて顔までは見えない
ただの通りすがりの人だと思って、そのまま横を突き抜けようと走った時
「待てよ!」
腕を掴まれてしまった