君が好き
「ご…」
「和希!」
いきなり私の言葉をさえぎられる誰かの声
突然のことで、私も北条くんもビックリして体がビクンッとなった
バッと首をまわしてうしろを振り向く北条くん
その横の隙間から私も首だけを声のした方に向けた
……最悪だ……
何でこんなところに″あの人〟がいるのかわからなかった
けど、真っ先に思ったことは『最悪』って言葉だった
「和希、お前……」
その人は手や体を震わせて低い声で名前を呼ぶ
和希という名前は北条くんの下の名前
北条くんを呼び捨てにしている人は1人しかいない
「日向くん……」
北条くんは焦るでも、青ざめるでもなく、ただ日向くんを見つめていた
「お前、光に何やってんだよ…!」
勢いよく走ってきた日向くんは、ガッと北条くんの胸ぐらを掴んだ
私から北条くんの体を離すと、いっきに90度ぐらいに回って北条くんをいきなりなぐったのだ
「……って……」
殴られた北条くんはよろけた足を踏ん張り、なんとか立ち止まった
「北条くん!」
私はソファから起き上がり、殴られた北条くんの元へかけよろうとした
が、かけよろうとした私の腕を日向くんに掴まれ
「…何で和希のとこに行こうとするんだよ…」
とさっきの怒っていた顔とは違い、今は悲しそうな顔をしていた