運命
「早く道を開けてさしあげないと。」
ザッ
一瞬だった。

先ほどまで光の周りを囲んでいた女生徒達は、月の為に道を空ける。


「みんなありがとね!!」
作り出された笑顔に女生徒達はときめくのであった。

タンタンタン

靴を鳴らしながら月は、光の前まできて止まった。

「ハロー!

ひ・か・り

迎えに来たよ〜ん!」


先ほど光を遠くから眺めていた少女だ。

美しい容姿からだろうか?
ぱっと見、冷たい印象だが口を開けば全く違うことがわかる。

容姿と性格のギャップがある少女の名は、夜風月だ。

「月(るな)!!

迎えに来てくれたんだ。」

「あったり前じゃん!!

部活お疲れ、

飲み物いるでしょ?

はい、パス」

ヒュ

「おっと」

「ナイスキャッチ」
空中に飛んできたペットボトルをキャッチした。

「サンキュー!!」

ごくごく。

相当喉が渇いていたのであろう、いきよいよくペットボトルの水を飲み干す。


「プハー!!
うめぇ 」


「ケラケラ親父みたい」


「うっせぇ」


目の前で繰り広げられる光景に女生徒達は……


「光様と月様…
お二人が並んでいらっしゃると「「絵になるわ」」」

先ほど同様に騒ぎ出す。

「みんなー!!!」

いきなりはっせられた声。
女生徒達の目線の先には、慌てふためく光が映る。

それもそのはず、月が光の無理矢理引っ張り腕を組んでいるからだ。


「ちょ、ちょっと強く引っ張るな。」

そんな嫌がっている光を無視して話を進める。


「光は私と帰るから、

ご・め・ん・ね!」

キュン

女生徒のハートをいぬく。
目がハートの生徒達も多い

「(クスクスちょろい、ちょろい)
行くわよ、光。」


「はいはい。」


これが二人の毎日の光景である。
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