運命
「ねぇ、空?
貴方がいなくなってからもう一年たったんだね…。」
沢山の墓石、お線香の香り、そして目の前の墓石に彫られているのは「夜風空」の文字。
そうここはお墓である。
手を合わせている先にはいままで自分が愛していた愛しい人のお墓…。
「もうそんなにたつんだね…
兄さんが亡くなってから…。」
月の独り言は静かな世界に響き渡った。
二人は一年前の出来事を思い出していた。
それは、今日と違い激しく雨が降る日であった。
「いやぁぁぁぁーー!!」
ざぁー
少女の声と雨音がその場に響き渡っていた。
すでに、周りは薄暗くなっていた。
「おい、そこでなにをしている?」
眩しい光が少女を照らす。
少女が懐中電灯の光に気づき、振り向くとそこには警察官がいた。
「なにかあったのか??
これはいったい……」
暗くて最初は気づかなかったが、少女が抱き抱えている少年が血だらけであることに気づく。
「空がぁ 空がぁ」
少女の目は真っ赤に腫れ上がっていた。
警察官は、周りに横たわる不良と血を流している少年を見て何が起きたのか理解をした。
ピーポーピーポー
サイレンオンが雨の中響き渡っていた。