モノクロの音色よ鮮やかに響け
「ごめんなさいっ」
どうしてこう、失敗ばかりしてしまうんだろう。
私は自分が情けなくなった。

「いや…お前のお陰で命拾いした」
片手で目を塞いで、小声で話す川畑は、泣いているかのように見えた。

「お前に冷たく当たった罰で、このまま死ぬのだろうと…。
もう、来ないだろうと思った…」
「そんな…私こそ、謝ろうと思ってました」

あぁ、この人はなんて、無器用で優しくて、愛しいんだろう。
私が、何をしてても川畑の事を考えていた週末に、川畑も私の事を気にしていたのだろうか。

この人が…川畑が好きだ。
川畑が、生きてて良かった!
間に合って、良かった!
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